超久しぶりの更新なのに、いきなりで何なのですが、【デビルマン crybaby】を最近見ました。

その感想はというと、超トラウマ級に「心を抉られ」ますが、一言、それでもこれは名作だと。

以下はネタバレなしの感想ですが、「覚悟があるならぜひ皆にも見て欲しい」と思うんですよ。

デビルマンってあれでしょ?「デッビール!!」でしょ?

ところでデビルマンと聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?

「あれは誰だ!誰だ!誰だ!」とか、「デビルウイ〜ング!」とか「デビルカッター!!」とか、はたまた「東京タワーに腰掛けて夕焼けに物思いにふけってる人(悪魔)」とか「鳩の群れが通過したらいつの間にか顔の向きが変わっている人(悪魔)」(ちょっとマニアック?)とか様々だと思います。

要するに「テレビシリーズ版」の子供向け、正義のヒーローなデビルマンしか知らないという人がほとんどだと思います。

私も実際そうでしたからね。

でも、実はそんなイメージしか無かった「デビルマンの原作」が全くの別物だということを知ったのは、大学生の頃でした。

何かの雑誌で、永井豪が描く絵柄と共に「テレビと原作が全く違う」ことが紹介されていて、そのまさに野獣のような、より悪魔らしい原作版のデビルマンにやけに興味を持ったんですよね。

で、何やら今では新品で販売されていないというこちら↓

が当時は、普通に本屋で購入出来たので、全巻(といっても全5巻)購入して読みました。で、驚いたなんてもんじゃありません。文字通り度肝を抜かれましたよ、はい。

その超ド級のトラウマが残るような結末に、はっきり言って「心が抉られた」わけです。

と、同時にその内容には非常に考えさせられたんですよね。内容の良し悪しがどうとかではなく、ある意味リアルで、恐ろしいその結末というのは、非常に「現実的」に思えたんです。

しかも、この原作が世に出されたのは、テレビ版と同時期の1972年!しかも連載していたのは「少年マガジン」と言うのだから驚きます。

自分が生まれる前に、いわゆる「少年誌」でこの内容のものが連載されていたとは、、、。

今だったら「ご法度」なんだろうな?と思うと同時に、当時の作品に対する「懐の深さ」みたいなものを感じますね。

「原作を最後まで描く」に拘った【Devilman crybaby】

で、そんな超トラウマ級の内容の原作版「デビルマン」を、「原作を最後まで描くことに拘る」そしてそれを2018年の現代に世に出したのが【Devilman crybaby】というわけです。

「原作を最後まで描く」のですから、かなりのえげつない内容になりますので、地上波などでは当然不可能!

ということで、「デビルマン crybaby」はネット配信のみ、それもNetflix(一ヶ月無料キャンペーンあり)でのみ視聴が可能です。

Netflix

と、言いつつ原作版を見ている・知っている私からすると、「ふむ。どうせ今風にデフォルメされて表現も緩和されているんだろう?どうれ、見せてもらおうか?2018年版デビルマンの実力とやらを」くらいに考えていました。

要するに興味本位が先に来ている感じ。

で、見終わって思ったこと、それは、、、、「トラウマ再び、、、。」です。

いや、見終わってしばらくは呆然と思考停止状態。

事前知識がある、そして「どうせ【何か違う感】があるんだろ?」とタカを括っていたこの私を、ここまで引きこませるとは、、、。

ここからは「原作版デビルマン」を見て心が抉られた経験を持つ私が、実際に「デビルマン crybaby」を見て思ったネタバレなしの感想です。

大筋は「原作に忠実」ながら今風に大胆にリメイク!しかも絶妙

この「デビルマン crybaby」。

「原作を最後まで描ききる」というテーマに偽りなし!最後までしっかりと原作版デビルマンです。

ただ、そこは1972年発表の原作なので、そのまま忠実に再現してしまうといろいろと問題も出てきます。

なので、この「デビルマン crybaby」は、このあたりの「時代背景」的なものは非常に大胆にリメイクされています。

一例を挙げると、

  • 登場する人物達は普通にスマホを使う
  • ヒロインである「牧村美樹」はSNSでの人気者
  • 「牧村美樹」の弟は小学生でYoutubeが大好き
  • いわゆる「不良」が「ラッパー」で実際に会話にラップを駆使

などなど。

今回の作品には、特に「ラップ」が良く出てくるんですが、これがまた異常にクオリティが高い!それもそのはずで、不良役で出演しているのは「声優さん」ではなく、(ラッパーの)本職が声優をやっているというパターン。(全員ではなく、声優さんがラップをやっているのもあり。)妙にラップのクオリティが高いのも納得。

そして「SNSの活用」や「ネットニュース」による拡散が、今作品においては「人の噂の伝達のスピード」、「根拠のないものへの信用」、「歪んだ正義を振りかざす」など、物語の核心に迫る事象が妙にリアリティを持ちながら、2018年という時代背景とマッチしているように感じますね。「負」の連鎖という恐怖がリアル!

また、原作にはない「デビルマン crybaby」オリジナルの要素も巧みに取り込まれています。

  • 主人公達は「陸上競技」をやっている
  • 「美樹」のお父さんが外国人。
  • 主人公の「不動明」がやたらと泣く
  • もう一人の主人公とも言うべき「飛鳥了」の髪型がツーブロックで”もみあげ”がない

などなど。

これらの新しい要素というのは、原作を愛するファンからはとかく「邪道」だと批判されやすいことなのですが、私が思うに今作品はこのあたりも上手くアレンジされているので違和感がないんですよ。それぞれ、そこに「意味」があったりします。(まあ「もみあげ」は特に意味はないと思いますが)

リメイクやオリジナル要素も結構大胆に取り入れながら、大筋の原作を大事にしている作り方がまさに絶妙なので、嫌な感じがしないんです。私も見始めた最初こそは、独特の絵柄のタッチや陸上部員の設定などに「これじゃない感」を感じていたものの、すぐに違和感がなくなり、むしろ引きこまれていったくらいです。

最近は活発な「旧作のリメイク作品」の中でも、この「デビルマン crybaby」はリメイクの良いお手本と言えると思います。

だが全ての人におすすめは出来ない

ここまで私的に絶賛の嵐な「デビルマン crybaby」なんですが、それでも皆に安心しておすすめ出来るか?と聞かれれば、その答えはもちろんNO!

何故なら、

  • 序盤から結構「エロ」「グロ」な場面のオンパレード
  • トラウマ不可避な物語終盤の「確実に心が抉られる」怒涛な展開
  • 見終わった後に来る、しばし呆然となるほどの「重い気分」

などがその理由。

特に「血」や「暴力」、「性的な描写」などに嫌悪感がある人は絶対に見ない方がいいでしょう。(と言っても、悪魔が流す「血」が「黄色」というデフォルメは加えられているので、大丈夫な人もいるかもしれません。)

また何度も言いますが終盤は特にキツイです。トラウマを味わいたくない人は視聴を断念した方がいいと思います。

ちなみに私は、妻と一緒に見たのですが原作を見たことがない妻は、視聴後にしばらくは「重〜い」などとつぶやき、日々の日常作業に集中出来ない状態になってました。

なので、視聴するなら「覚悟を決めて」見るようにしてくださいね!

それでも「見て欲しい」と思える良作、、いや名作である

「どっちやねん?」とツッコミを受けるかもしれませんが、私はそれでもこの「デビルマン crybaby」は多くの人に「見て欲しい」と心から思える名作であると断言したいと思います。

衝撃の展開が待っているので、確かにキツイです。心が重くなること確実です。

それでも見てください。感じてください。人はかくも弱い存在であるということ。そして人はこうも恐ろしい生物であるということ。人はなんと愚かなんだということを。

そしてその物語に泣いて欲しいんです。

その物語に涙を流す〜他人に想いを寄せて泣ける〜ということが人が人らしくある一面でもある、ということを心から感じて欲しいなと。

そうすれば、その気持ちを持ってさえいれば、例えば「いじめ」などは起きなくなるんじゃないか?と思えるんですよね。

人間は愚かで恐ろしい、、、。その事実を認識するとともに、また同時に「人のために泣くことが出来る」そして「想いをバトンとして後世に語り継ぐ」ことも出来る素晴らしい一面も人は持っています。

そういったことを、この「デビルマン crybaby」を見て私は思えました。

今から数十年前、大学生のときにデビルマンの原作を読み、感じたことは今とは少し違う感覚だったかもしれませんが、根本的には変わりません。

変わらないんですが、数十年の時を経て2018年の現代にリメイクされた「デビルマン crybaby」を見て、より一層そう思えたんです。まあ私も年齢を重ねていることもありますが、、、。

また素晴らしい「原作」あってこそ、2018年というこの現代に絶妙なリメイクが生まれたということ。

そう考えると、数十年前に誕生した「デビルマン」って単純に凄いなあ、、、。とも。

とにかく、こういった作品が苦手でないならば、ぜひ見て欲しいと心底思える作品ですよ!(だから結局どっちやねん!)

音楽もまた良し!

そして、、、。物語を盛り上げる大事な要素の一つ「音楽」がこれまた素晴らしいんですよ。

百聞は一見、一聴に如かず!Netflix公式PVをご覧ください。↓

どうですか?無茶苦茶面白そう&音楽がカッコ良くないですか?

「DEVILMAN crybaby」のOP「MAN HUMAN」&特殊ED「今夜だけ」を手掛けるのは、テクノ界の大御所、電気グルーヴ

「MAN HUMAN」最高!!

そしてこちらは、劇中に流れるサントラの「DEVILMAN crybaby Original Soundtrack」。

2曲目 D.V.M.N. -Theme From “DEVILMAN crybaby”-

23曲目 Judgement

は、特にいい!

音楽ってやっぱいいですね。「デビルマン crybaby」本編を堪能した後でも、自宅やクルマや旅先にも音楽を持ちだしてあらゆる場面でその世界観に浸れるので。

ちょっぴり低音を効かせて車内で「MAN HUMAN」や「D.V.M.N. Theme From “DEVILMAN crybaby”」を流すと、もう鳥肌モンですよ。

最後に

旧作のリメイク作品というのは、原作のファンからすればいろいろと賛否両論があるものです。

ですが、この「デビルマン crybaby」は、原作の一ファンでもある私個人的には最高のリメイクだと思います。

原作を知らない方も、ぜひこの「デビルマン crybaby」を見て「人はどういう存在なのか?」といったことをいろいろと考えてみて欲しいな、と思います。

これを見てから原作を読んでみてもいいし、それも味のある楽しみ方かもしれませんね。

私も「デビルマン crybaby」を見てから、再び「原作」を読もうと思い「実家にあったはずだ」と実家に連絡しましたよ、ええ。

そしたらですね、、、。なんと、

「ああ、じゅんぼうの部屋にあった漫画本、全部捨てたよ。」

との回答が、、、、。

涙を流し咆哮とともに、私が危うく「デビルマン化」するところだったのは言うまでもありません。